はかりと輸出ついて《はかりの知識》

ニュース&トピックス

はかりと輸出について

おかげさまをもちまして、2021年11月に開業3周年を迎えるはかり商店でございます。

多くのお客様から頂くお問い合わせの中には、法律やその他の法令に関わることも増えてまいりました。

ここでは、はかりの「輸出」や国内で購入したはかりを「海外拠点などに移動する」場合に関連する法令についてご説明致したいと思います。

※弊社はかり商店では、
以下にご説明致します法律上の問題に関しましての作業・手続きに関しまして一切行っておりません。
弊社でお取り扱いしております商品は、全て日本国内で使用されることを前提としております。実際に「輸出」及び「海外への商品(技術)の移動」を検討されている場合には貴社の責任にて行ってください

安全保障の観点からの輸出管理

・大量破壊兵器や通常兵器の拡散は大きな国際問題となっております。こうした中で、我が国は、我が国の安全保障と国際的な平和及び安全の維持の観点から、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造等に関連する資機材並びに関連汎用品の輸出やこれらの関連技術の非居住者への提供」について、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」(がいためほう)という。)に基づき、必要最小限の管理が実施されています。

・従って、外為法で規制されている貨物や技術を輸出(提供)しようとする場合は、原則として、経済産業大臣の許可を受け る必要があります。

・外為法に基づく規制は、化学兵器禁止条約等の条約に基づくものと欧米先進諸国等が中心となって参加する国際的な輸出管理に関する合意(※国際輸出管理レジーム)等に基づき実施されています。

国際輸出管理レジーム原子力供給国会合(NSG)オーストラリア・グループ(AG)MTCR(ミサイル関連機材・技術輸出規則)ワッセナー・アレンジメント(WA)ザンガー委員会をいう。

我が国の安全保障輸出管理制度

大きく下記の2つから成り立ちます

① リスト規制 : 原則として経済産業大臣の許可を受ける必要がある制度(原料、技術、工作機械技術など、一定の仕様・機能を持つ物(技術)を輸出(提供)しようとする場合

② キャッチオール規制 : リスト規制に該当しない場合でも、一定の要件を満たした場合、経済産業大臣の許可を必要とする制度

根拠条文

外為法第48条第1項に基づき、特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物を輸出しようとする者は、経済産業大臣の許可(輸出許可)を受ける必要があります。特定の仕向地や特定の種類の貨物については、政令である輸出貿易管理令(以下「輸出令」という。)の別表第1で、大枠が定められています。

平成21年11月1日施行の改正外為法により、2つの場合が規制されています。

外為法第25条第1項(前段)に基づき、特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者は、経済産業大臣の許可(役務取引許可)を受ける必要があります。
外為法第25条第1項(後段)に基づき、特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、経済産業大臣の許可(役務取引許可)を受ける必要があります。特定技術や特定国については、政令である外国為替令(以下「外為令」という。)の別表で、大枠が定められています。

罰則

外為法第69条第の6により、同法第48条第1項又は第25条第1項に違反して規制対象貨物の輸出又は技術の提供をした者は、懲役、罰金又はその両方が科されることとなります。

「リスト規制」とは

① リスト規制該当貨物(技術)

輸出令別表第1(外為令別表)の1の項から15の項に該当する貨物(技術)をリスト規制貨物(技術)といいます。

リスト規制は、専ら貨物や技術の機能や性能(スペック)に着目した規制です。具体的なスペックや機能は、輸出令別表第1(外為令別表)の1の項を除き、経済産業省令である輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(以下「貨物等省令」という。)で規定されています。

このスペックを満たすリスト規制該当貨物(技術)を外国に輸出(提供)する場合は、原則、経済産業大臣の許可が必要です。たとえば、東京にある会社が、アメリカにある子会社に輸出令別表第1の3の項(2)に該当するポンプ1セットを輸出する場合であっても、経済産業大臣の輸出許可が必要です。

逆に輸出令別表第1の3の項(2)に該当しないポンプをアメリカに輸出する場合は、輸出令第5条により税関にリスト規制に該当しないことを証明する書類等(非該当証明書、項目別対比表、パラメータシート等)を提出する必要があります。

② リスト規制該当貨物(技術)の内容

武器関連=武器輸出三原則・一部ワッセナー・アレンジメント→輸出令別表第1(外為令別表)の1の項

大量破壊兵器関連輸出令別表第1(外為令別表)の2~4の項

通常兵器関連ワッセナー・アレンジメント(WA)→輸出令別表第1(外為令別表)の5~15の項

リスト規制の対象になる技術には、技術資料又はソフトウェアの提供、技術者の受入れ又は派遣を通じた技術支援等も含まれます。 なお、リスト規制に該当する技術は、リスト規制該当貨物に関する技術だけではなく、リスト規制に該当しない貨物の技術も一部規制していますので、注意が必要です。

③ リスト規制対象地域

規制対象地域は全地域となっています。

特に国際的な懸念がある地域として、イラン、イラク、北朝鮮が輸出令別表第4の地域として規定されています。

「キャッチオール規制」とは

・キャッチオール規制は、湾岸戦争終了後にイラクに対する国連等の査察の結果、イラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発等を行っていた事実が判明したことから、導入された規制です。

リスト規制と異なり、専ら需要者や用途に着目した規制です。したがって、リスト規制と異なり、貨物や技術が輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に該当しただけでは、ただちに許可申請が必要になるわけではありません。

※はかり商店で販売しております商品につきましては、ほぼ全商品が輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に該当致します。

以下に示すとおり、客観要件又はインフォーム要件のいずれかに該当した場合に許可申請が必要になります。

キャッチオール規制は、現在、(1)大量破壊兵器キャッチオール規制(2)通常兵器キャッチオール規制が実施されています。キャッチオール規制は、リスト規制を補完していることから、補完的輸出規制ともいいます。

(1) 大量破壊兵器キャッチオール規制

① 大量破壊兵器キャッチオール規制対象の貨物(技術)

輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に掲げられており、原則、リスト規制貨物以外の貨物(技術)です。ただし、食料品、木材等のおよそ大量破壊兵器の開発等とは関係がないと考えられる一部の品目(技術)はキャッチオール規制から除かれます。

② 許可申請が必要な場合

①の対象品目であり、かつ、下記の「客観要件」あるいは「インフォーム要件」に該当した場合に許可申請が必要となります。

(ア)客観要件

  1. 「用途要件」・・・ 輸出(提供)する貨物(技術)の用途が大量破壊兵器等に用いられる技術・製品の開発、製造、再処理、メンテナンスなどであること
  2. 「需要者要件」・・・輸出(提供)する貨物(技術)の需要者が大量破壊兵器等に用いられる技術・製品の開発、製造、再処理、メンテナンスのために用いる者、あるいは過去に用いた者であること
  3. 但し(b)の需要者要件は「用途」が明らかに異なる場合は除かれます。例えば「原子力発電所の技術者」が「構内で使用する自転車のブレーキを修理するための部品」を求めている場合

(イ)インフォーム要件

・輸出される貨物(技術)が大量破壊兵器等の開発等に使用されるおそれがあるものとして、経済産業大臣から輸出許可・役務取引許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき

③ 規制対象地域

 輸出令別表第3に掲げる地域を除く全地域。輸出令別表第3の地域に掲げられている27ヶ国は、輸出管理に関する国際的な条約及び4つの国際的なレジームに参加し、キャッチオール規制を厳格に実施している国であることから、規制の対象外とされている。なお、輸出令別表第3に掲げる地域は、通常兵器キャッチオール規制でも規制の対象外である。

輸出令別表第3の地域(通称、グループAという。)

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国の26カ国をいう。 (2019年9月現在)

(2) 通常兵器キャッチオール規制

① 通常兵器キャッチオール規制対象の貨物(技術)

通常兵器に関するキャッチオール規制は、対象となる貨物(技術)は輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に掲げられているとおりですが、仕向地(提供地)によって、許可申請の要件が異なります

通常兵器キャッチオール規制は、大量破壊兵器キャッチオール規制と異なり、客観要件は用途要件(※注1:通常兵器開発等省令、※注2:通常兵器開発等告示)のみです。

(ア)仕向先が「輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国・地域)※1」の場合

a) 上記「インフォーム要件」あるいは「用途要件」

b) 対象貨物(技術)が輸出令別表第1(外為令別表)の16の項

a) かつ b)の場合、許可申請が必要です。

(イ)仕向先が上記「グループA」以外で、かつ「輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国・地域)※1」以外の場合

a) 上記「インフォーム要件」

b) 対象貨物(技術)が輸出令別表第1(外為令別表)の16の項

a) かつ b)の場合、許可申請が必要です。

※1 輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国・地域)」

アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン (2019年9月現在)

--------------------------------

かなりかけあしでご説明してきましたが、
海外拠点への移動や、海外の協力会社への技術協力として行われる器物の移動も
仕向先と用途によっては許認可が必要となる場合もあると存じます。

よろしくご検討頂きますようお願い致します

   BACK TO INDEX   

カテゴリー

最近の記事

過去の記事