分銅は、とてもデリケートです。
正しい取扱い方法を知り、大切に保管しましょう。
お手持ちの分銅を安全に長くお使いいただくための注意点をご紹介いたします。
分銅は、点検や清掃等の際、必ずピンセットや綿手袋または不織布等で取り扱いましょう。素手で触ると、皮脂油やあせの成分または手についた汚れ等が付着します。これは質量の変化や錆の原因になります。錆等の腐食は、これもまた質量変化につながります。
軽い分銅には、先端が樹脂等のピンセットを使用すると良いでしょう。分銅の損傷を軽減します。重い分銅は、フォークやグリップまたは手袋等利用して持つようにして下さい。
計量皿上で滑らせると底面がすり減る原因となります。
分銅を複数個積み重ねる場合でも滑らせないように注意しましょう。
分銅どうしをぶつけたり、はかりにぶつけないようにしましょう。
分銅の底面がすり減ったり、かけたりすれば分銅の質量に変化が生じます。
汚れは質量変化の原因になります。汚れが軽い場合は、エアーなどで表面の埃をとり、シリコンクロス等を使って汚れを拭き取ります。汚れがひどい場合はアルコール・蒸留水等を使用し拭き取ります。そして完全に乾くまで分銅を使用しないようにします。分銅は、液中に浸さないで下さい。調整孔のある分銅の場合、調整孔の中に液体が入ってしまうことがあります。
はかりの設置場所の温度と分銅の温度に差があると、測定の際に対流が生じることがあります。特に高精度のはかりでは、表示重量に変化が起きる時があります。
分銅は、はかりの点検前に設置場所で十分放置し、温度が同じになるようにします。分銅やはかりの種類・等級によって異なりますが、2~8時間程度はかりの設置場所に放置します。特にF1級以上の分銅は、24時間以上放置することをお勧めいたします。
分銅は、その材質により磁性を帯びることがあります。分銅が磁化すると、点検時にはかりの重量表示変わることがあります。磁化は、はかりからの影響、分銅を置く場所の影響などが考えられます。計量皿の上に非磁性のスペーサ(ビーカー、アルミニウムなど)を置いて分銅を載せることで磁化が軽減されます。
耐食性の劣る分銅は、高温多湿の場所で保管すると、質量変化しやすくなります。また、埃のかかる場所などでも同じです。常温で埃のかからないような場所に保管庫を設置し、分銅はその中で保管します。また分銅は、専用ケースに入れておくことをお勧めいたします。
運搬時に分銅どうしがぶつかったりして分銅が損傷しないようにしましょう。分銅は専用ケースに入れ、がたつきの無いようにしてから運搬して下さい。また、分銅の専用ケースも損傷しないに注意しましょう。
分銅は、はかりの点検において重要な基準となります。分銅のもつ誤差が法定で定められた許容範囲内かどうかを調べておく必要があります。材質や使用頻度にもよりますが、1~3年に1度は、専門業者に校正をご依頼下さい。