【はかり商店】計量器の点検について その2

はかりコラム

定期点検・検査手順について

【はかり商店】計量器の点検について その1  の続きです

ここではしばしばお問い合わせをいただく

①計量器(質量計)の点検・検査に関わる詳細な手順についてご説明致します。

点検・校正の方法について動画にまとめました。参照下さい

※日常点検・定期点検についての一般的な説明はこちらを参照ください。

※はかり商店では計量器のメーカー様・メンテナンス業者様で行う「機器の点検作業」についてのお問い合わせも承っております。
下記リンクからお問い合わせをお願いいたします。

※特定計量器の「(法定)検査」および「検定」に関してはこちらで説明しております

※計量器の「校正」に関してはこちらで説明しております

 

「詳細な点検・検査」とは?

1)内部検査の必要性

・一般的に計量器(質量計)を日常的に使用される場合だけであれば、こちらの「日常点検」や「定期点検」だけでも問題ありません。(「分銅の選び方」はその3で説明します)

・しかしながら特にモノづくりの現場におけるISOなどの品質マネジメントシステムや、医薬品、食品などの業界におけるGLP、GMPなどの安全性の品質保証基準など求められる品質基準はますます多様化し、高度なものになっています。

正しく計量できているか、故障はないかなどを日常的に、または定期的に確認しておく必要があります

定期的な点検・検査を外部委託する場合であっても、どのような点検・検査が必要なのかは理解・把握しておく必要があります

※ISO関連やGLP/GMPなどの体制づくりおいては、点検・校正について外部機関への依頼が必要な項目があります。当社では各種校正サービス、点検サービスのお問い合わせを承っております。必要な際はぜひご相談ください!

 

では、詳細な点検とはどのようなレベルを想定するのでしょう

2)器差検査と使用公差

1, 器差検査とは

計量法で定める特定計量器は2年毎に検査受ける義務があります(この法定検査についてはこちらで説明しております)。その際行われる「器差が省令で定める使用公差を超えないこと」(計量法23条)をチェックする性能検査を「器差検査」と呼びます。

ここでは、詳細な点検として、器差検査を行う想定で説明を致します。

2, 器差検査の検査箇所選定法 →

手動天秤や等比皿手動はかりを除くすべての非自動はかりは、下記の①から③を全て含んだ3点以上を検査箇所として行きと戻りの検査を行います。(試験荷重を増加させて①→②→③の順で検査し、試験荷重を減少させて③→②→①の順で検査を行います)

①最小測定量

②使用公差が変わる付近

③ひょう量(多目量はかりでは、各部分計量範囲の最大能力付近)

3, 器差検査の注意点

① 必要な情報の確認

・銘板や取扱説明書などで、ひょう量、目量、あれば精度等級、最小測定量などを確認します。

② 慣らし動作

・はかりにひょう量分の荷重をかけて慣らし動作を行います。分析用電子天びんなどは少なくとも点検前1時間前には通電状態(ACアダプタをコンセントにさす)にしてください。

③ 風袋引きの解除

・はかりに風袋引きの設定がされている場合には荷重を加える前に解除してください

④ 試験荷重変動時の注意

・試験荷重を増加させるときは、分銅の交換時などにはかりの指示値が減少しないように心がけてください。また、試験荷重を減少させるときは、分銅の交換時などにはかりの指示値が増加しないように心がけてください。(※器差検査を行っている途中で、絶対にゼロ点に戻さないでください→後述「ゼロ点の誤差」)

⑤ ひょう量チェック

・ひょう量分の試験荷重を載せた際には、ひょう量が表記通りであることの確認(ひょう量を超えた計量値に対して、一定のルールに従ってエラー表示などを行うかどうかを確認)するため、載せ台をゆっくり押し込み、はかりがひょう量を超えた計量値を測れないことを確認します。

⑥ 戻りゼロのチェック

・試験荷重を全て取り除いたとき、ゼロ点であることを確認します。

4, 使用公差と検査点

① 使用公差とは

・特定計量器の法定検査において基準となる器差(誤差)を使用公差といいます。計量法、省令などで定めがあります。

◯非自動はかりの使用公差表

※ 新基準 (JIS対応)

※旧基準

※ 精度等級の記載のない電気式計りについては、使用公差は次の表の通り

※ 精度等級の記載のない機械式はかりについては、次の表に基づき、旧基準(H,M,O)の使用公差を適用します

② 器差検査箇所の選定

例) 自動指示はかり(デジタル表示)の検査について器差検査箇所の選定例

はかりの種類:電気抵抗線式はかり(多目量はかり)
ひょう量:6,000g 目量:2g 最小測定量:20g
計量範囲(第1範囲):0g ~ 3,000g
計量範囲(第2範囲):0g ~ 6,000g
※第2範囲が0gから始まる点に注意

表1 第1範囲、第2範囲を0gからとして考えた場合の公差適用表

この場合3,000gまでは目量1gの部分計量範囲の使用公差で検査を行います。この部分計量範囲では目量2gの使用公差と同等、あるいはより厳しい検査を行うので、目量2gでの3,000gまでの検査箇所は行う必要はありません。

3,000gを超えてからは、目量2gの使用公差を適用し、全体の使用公差の適用と検査箇所は次の表2のとおりとなります。

表2 表1から検査を行わなくても良い部分を省略した公差適用表

☆ この例で最終的に器差検査を行う必須箇所

3)その他の検査について

自動指示はかり(デジタル表示)の性能に関わる検査です

1, 感じ検査とは

①任意の荷重を載せる(安定させる)

目量の2倍の荷重を静かに載せる

③荷重した目量に相当する変位をすることを確認する

 

2, 偏置誤差の検査とは

①載せ台を1/4で区切った場所の中央それぞれに

ひょう量の1/3相当の荷重を静かに載せる

③荷重した計量値が使用公差を超えないことを確認する

3, 繰り返し検査とは

ひょう量及びひょう量の1/2相当の荷重を使用します。

繰り返し3回(1級と2級は6回)計量を行う。

③荷重を取り除いたときは表示を確認し、ゼロ点が変動した場合はゼロ点設定を行う。

④各回の計量値の差が使用公差を超えないことを確認する

4, 直線性の検査とは

①ひょう量を4等分から6等分した重量の分銅を使用します

目量の2倍の荷重を静かに載せる

③荷重した目量に相当する変位をすることを確認する

 

【はかり商店】計量器の点検について その3 へ続きます

Coming soon ・・・

 

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