【はかり商店】計量器の点検について その1

はかりコラム

点検について

ここでは計量器の使用担当者様、あるいは管理者様が行う「点検」について説明いたします。

点検・校正の方法について動画にまとめました。参照下さい

※はかり商店では計量器のメーカー様・メンテナンス業者様で行う「機器の点検作業」についてのお問い合わせも承っております。
下記リンクからお問い合わせをお願いいたします。

※特定計量器の「(法定)検査」および「検定」に関してはこちらで説明しております

※計量器の「校正」に関してはこちらで説明しております

 

なぜ「点検」は必要なのでしょうか?

1)点検作業の必要性

計量器は精密機器です。

日常の使用だけでも汚れ、振動など計量器の精度に影響を及ぼすことがあります。更には移動・移設など環境の変化では大きく精度に変化を及ぼすことがあります。

特にモノづくりの現場におけるISOなどの品質マネジメントシステムや、医薬品、食品などの業界におけるGLP、GMPなどの安全性の品質保証基準など求められる品質基準はますます多様化し、高度なものになっています。

正しく計量できているか、故障はないかなどを日常的に、または定期的に確認しておく必要があります

※ISO関連やGLP/GMPなどの体制づくりおいては、点検・校正について外部機関への依頼が必要な項目があります。当社では各種校正サービス、点検サービスのお問い合わせを承っております。必要な際はぜひご相談ください!

まず、はかりを使用する際、分銅を使用する際に、日常的に注意していただきたいことがあります

2)計量器・分銅の取り扱い時の注意点

① 計量器取扱い上の注意点

以下の注意点は、計量結果の精度や計量器の故障、使用寿命に影響を及ぼすことがあります

1,計量器を移動、移設した場合は必ず動作確認を行ってください
校正が必要な場合は取扱説明書に従って校正を行ってください

2,不安定な台や振動を受けやすい場所では使用しないでください
表示が安定せず計量結果の信頼性が低下します。また、計量皿から計量物が落ちて不慮の事故が起きる恐れがあります

3,計量物を載せたまま計量器を動かさないでください
計量皿から計量物が落ちて不慮の事故が起きる恐れがあります。

4,計量器のアジャスター(足)が浮いた状態で使用しないでください
表示が安定せず計量結果の信頼性が低下します。また、計量皿から計量物が落ちて不慮の事故が起きる恐れがあります。

5,防水性能がない計量器を、水気が多い場所(水蒸気、霧状も含む)で使用しないでください
感電や電気回路の腐食、ショートなど故障の原因となることがあります。

6,防塵性能がない計量器を粉塵が多い場所で使用しないでください
爆発や火災の原因となることがあります。また、電気回路の接触不良など故障の原因となる恐れがあります

7,計量器に衝撃を与えないでください
破損・故障の原因となりますので、計量物を載せる際にも静かに載せてください

8,周囲の温度・湿度の変化が激しい場所で使用しないでください
計量結果の信頼性が低下する場合があります。また故障の原因となる場合があります。環境温度はおおむね5℃~35℃以内でご使用ください。

9,直射日光が当たる場所で使用しないでください
表示が見えにくくなることがあります。また、計量器の内部温度が上昇し計量結果の信頼性が低下することがあります。

10,エアコンや野外などの風が当たる場所で使用しないでください
表示が安定せず計量動作に影響を与えるとともに、計量結果の信頼性が低下します。風が当たる場合には風防オプションを使用してください

11,本体その他の部分に揮発性の溶剤を使用しないでください
変色、変形することがあります。本体その他の汚れは、乾拭きまたは中性洗剤などを含ませた布で落としてください。

12,計量器を分解・改造・修理を行わないでください
故障、発熱、発火の原因になることがあります。故障、修理などはご相談ください。

 

② 分銅の取扱い上の注意点

1,分銅に素手で触れないでください
素手で分銅に触れると、油脂や汗の成分が付着して、サビなどによる質量変化の原因になります。軽い分銅の場合は木製のピンセットか、先端に樹脂やゴムのカバーのついたピンセットを使用してください。思い分銅の場合は手袋を使用するか、グリップやフォークを使用するようにしてください。

2,分銅を滑らせたりぶつけないでください
計量皿の上で滑らせて移動させますと分銅の底面が摩耗する原因になります。ぶつけますと分銅の一部が欠けることがあります。

3,計量作業前に計量室に分銅を十分放置してから使用してください。
高精度なはかりの点検に分銅を使用する場合は、はかりが設置されている室と分銅の保管場所の温度と湿度に注意が必要です。はかりの設置室と分銅の温度が異なると測定の際に対流が生じて計量が正確さを書く場合があります。はかりの設置室と分銅の温度が同じになるように、あらかじめ分銅をはかりの設置室に十分な時間放置してくだい。

※分銅は保管・運搬時にも注意する点があります

4,分銅は湿気やほこりの少ないところに保管してください
サビの発生やホコリの付着は質量変化の原因となりますので。分銅は湿気やホコリ、腐食性ガスの少ないところで保管してください。専用の放湿保管庫に保管することをおすすめします。

5,分銅の専用ケースに保管して持ち運ぶことをおすすめします
分銅を保管場所から移動させるときは、汚れの付着の防止、量皿の上で滑らせて移動させますと分銅の底面が摩耗する原因になります。ぶつけますと分銅の一部が欠けることがあります。

3)点検の種類

・点検には、おおまかにいって3つの種類があります。

1,日常点検

操作担当者が行います。使用前点検、あるいは始業前点検とも呼ばれ、1日に1~2回使用する前に行うことをお勧めします。

① 設置状態(水平)の確認
② 計量皿やその周辺の汚れ、異物の有無の確認
③ ゼロ点戻りの確認
④ 普段測定している重量の分銅を載せて、重量表示を確認する

2,定期点検

操作担当者が行います。「日常点検」に加えて、一定の時期または期間を定めて行うことをお勧めします。
実施月(例えば季節の変わり目など)を決めておくことをお勧めします

① ひょう量分の分銅を載せて、重量表示を確認
② ひょう量の1/2の分銅を載せて、重量表示を確認

3,定期検査(法定検査に非ず)

業務管理者(または業務監督者)が行います。「日常点検」「定期点検」に加えて、一定の時期または期間を定め、少なくとも1年に1回行うことをお勧めします

① 再現性の確認
② 編地誤差の確認
③ 直線性の確認

注意!!「特定計量器」は、この他に法律で定められた検査を受けなければなりません。

4)「日常点検」の内容

「使用前点検」です。1日に1~2回、はかりを使用する前に行う点検です

① 設置状態(水平)の確認

・まず、はかりの水準器の気泡が円の中心にあり、はかりの設置状態は水平に保たれていることを確認してください

・気泡が中心から外れている場合は、電子はかりのアジャスタを調整して、水平器の中心に気泡が位置するように調節してください
・また複数のアジャスタが取り付けられている場合には、はかりにガタつきがないことを確認してください。

② 計量皿やその周辺に汚れ、異物がないかの確認

・汚れ、異物の付着がある場合には除去します

③ ゼロ点戻りの確認

・電子はかりであればゼロボタンなどを押し、ゼロ設定後、適当な測定物(分銅など)を数回載せおろしてゼロ(0g表示)になることを確認します

④ 普段測定している計量物の重量(一番使う質量)の分銅を載せ、重量表示を確認

注意点)

・分銅を乗せる前に重量表示が初期値(ゼロ表示)に戻っていることを確認します

・載せた重量表示が点検の基準値(器差が目量の2倍より小さい)であることを確認します

例)分銅が100gで目量が0.2gであった場合99,8g~100.2gであることを確認

・分銅をおろして重量表示が初期値(ゼロ表示)に戻ることを確認します

※ここでの「点検の基準値」はあくまでも目安です

一般的に法定検査の使用公差に準じる基準を想定ください

 

5)「定期点検」の内容

一定の時期あるいは期間を定めて定期的に行う点検です。前項で説明した「日常点検」に続けて行います

① ひょう量分の分銅を載せて、重量表示を確認

例)ひょう量12kg目量2gとした場合

・ひょう量分の分銅を用意します(この場合の推奨5kg×1、2kg×3、1kg×1)
・分銅を載せる前に重量表示がゼロであることを確認します
・12kg分の分銅を載せます
・重量表示が(11998g~12002g)の範囲内であることを確認します
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します

② ひょう量の1/2分の分銅を載せて、重量表示を確認

例)ひょう量12kg目量2gとした場合

・ひょう量の1/2分の分銅を用意します(この場合の推奨5kg×1、1kg×1)
・分銅を載せる前に重量表示がゼロであることを確認します
・6kg分の分銅を載せます
・重量表示が(5998g~6002g)の範囲内であることを確認します
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します

 

6)「定期検査」の内容

一定の時期あるいは期間を定めて定期的に行う点検です。前項で説明した「日常点検」「定期点検」に続けて行います。通常は業務管理者が行うかその監督下に行われます。

※ 詳細な検査に関しましてはこちらで説明しております

① 再現性の確認

例)ひょう量12kg目量2gとした場合

・ひょう量分の分銅を用意します(この場合の推奨5kg×1、2kg×3、1kg×1)
・分銅を載せる前に重量表示がゼロであることを確認します
・ひょう量の1/2分(6kg)の分銅を載せます
・重量表示が(5998g~6002g)の範囲内であることを確認します
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します
・上記を3回以上繰り返して正しく重量表示されることを確認します

・ひょう量分(12kg)の分銅を載せます
・重量表示が(11998g~12002g)の範囲内であることを確認します
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します
・上記を3回以上繰り返して正しく重量表示されることを確認します

② 偏置誤差の確認

例)ひょう量12kg目量2gとした場合

・ひょう量の1/3分の分銅を用意します(この場合の推奨2kg×2)
・分銅を載せる前に重量表示がゼロであることを確認します
・計量皿の範囲を4等分し、それぞれの範囲の中心部分に分銅を載せます。
・重量表示が(3998g~4002g)の範囲内であることを確認します
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します

③ 直線性の確認

例)ひょう量12kg目量2gとした場合

・ひょう量分の分銅を用意します(この場合の推奨5kg×1、2kg×3、1kg×1)
・分銅を載せる前に重量表示がゼロであることを確認します
・分銅を組み合わせながら1kgづつ増量して計量部に載せて重量表示を確認します。
(全ての組み合わせができなければひょう量に対して
4等分あるいは6等分した質量分の分銅を載せて確認します)
・分銅をおろして重量表示がゼロであることを確認します

 

7)点検で問題が発見された場合

・各点検での結果が基準を超えた場合、取扱説明書に従って再調整を行ってください。そして再調整後、再度点検を行い、基準値内になったことを確認してください。再調整を行っても基準値以内にならない場合は、メーカー・販売店・修理事業者などに依頼して修理を行ってください

【はかり商店】計量器の点検について その2 へ続く・・・

   BACK TO INDEX   

カテゴリー

最近の記事

過去の記事