HACCP(ハサップ)とは?管理に役立つ温度計もご紹介!

はかりコラム

「HACCP」による衛生管理が、2020年より義務付けられることになりました。2021年5月末に猶予期間が終了します。

このコラムでは、知っておきたいHACCPとHACCPに役立つ温度計についてまとめました。

そもそもHACCPとは?

HACCPとは、「ハサップ」「ハセップ」と読み、

Hazard Analysis and Critical Control Point】

の頭文字をとったもので、日本語では「危害要因分析重要管理点」と訳されます。

1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理方式で、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関、食品規格委員会から発表されました。世界的な機関から発表されており、今やHACCPは各国に推奨され、国際的にも認められた手法なのです。

 

食品を製造・加工するには様々な工程があり、その工程それぞれに微生物汚染、異物混入などの衛生問題が発生する可能性があります。

HACCPは、各工程ごとにそれらの起こりうる危害を分析・予測した上で、危害を防ぐために重要な工程を監視・記録する衛生管理手法です。

それにより、食品に潜む病原菌やウイルスなどの危険因子が原因の食中毒などを、より効果的に未然に防ぐことができるというのがHACCPの考え方です。

=特に重要と考えられる工程とリスクを分析(Hazard Analysis)し、重点的に管理をする点(Critical Control Point)を設定する

HACCPと従来管理との違いは?

では、HACCPを導入した管理と従来の管理では何が違うのでしょうか。

従来は、完成した製品のうちから一定の割合で抜粋し、規定の水準を満たしているかを検査するという方法でした。

この方法の場合、もし不備があり不合格となると、一連の製品を全て廃棄することになるのです。それは、具体的にどの工程のどの部分に問題があったのか、原因をはっきりと突き止めることができなかったためです。

 

一方HACCP方式だと、仕入れ・充填・加工・加熱・保存・包装など、1つ1つの工程をあらかじめ詳しく分析します。その中で問題の起こりうる重要な工程を重点的に管理・記録し、安全を確認することで、最終的に完成した製品の安全性を証明することになるのです。もし問題が起こった時、各工程で管理しているので、最後に検査をするよりも原因の特定・対応がしやすくなるというメリットがあります。

また、管理・記録することにより、「今まではこうだったから」という勘や経験だけに頼らないようにもなります。

【HACCP方式のメリット】

▪問題の原因特定・対応がしやすくなる

▪より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能

▪全廃棄による廃棄率が下がる

▪各工程の危害要因を重点的に管理することで、最終製品の安全性を証明できる

▪確認すべきことが明確になり、勘や経験に頼らない管理になる

HACCP、具体的には何を?

誰がどんなことするのか:「全ての食品関連事業者」

「改正食品衛生法」によると、HACCPによる衛生管理法の義務化は「全ての食品関連事業者」が対象とされています。

つまり食品メーカーや食品製造工場、飲食店、食事を提供する施設全般を指します。

しかし、大企業と個人の飲食店とでは設備も対応できる内容も違ってきますよね。そこで、「組織の規模によって、どれくらいのことをするのか」が以下のような2つのレベルに分けて設定されました。

基準A:【HACCPに基づく衛生管理】

・従業員が500人を超えるような大企業/大規模工場が対象

・12手順7原則を要件とする衛生管理が求められる

 

基準B:【HACCPの考えを取り入れた衛生管理】

・小規模事業者が対象

・HACCPを必要に応て取り入れながらも、「一般的衛生管理」を基本とし、義務化は比較的容易な衛生管理に留める。計画・管理・記録などの部分的な適用。

 

基準A:【HACCPに基づく衛生管理】

基準Aの「HACCPに基づく衛生管理」が適用されるのは大企業・大規模工場のような事業者です。HACCPには、「12手順7原則」というものがあり、HACCPを導入するにあたってこの12の手順を踏まなくてはなりません。特に手順の6~12は重要な7原則とされています。

  • 《12手順7原則》
  • ①HACCPのチームを編成する
  • ②製品名・原材料・消費期限・賞味期限・保存法などを記載した製品説明書を作成する
  • ③加熱するか、誰が食べるのかなど、意図する用途及び対象となる消費者を設定する
  • ④原材料受け入れ~消費までの製造工程一覧図を作成する
  • ⑤製造工程一覧図を現場で確認する
  • ⑥食中毒や異物混入などの危害要因分析
  • ⑦重要管理点(CCP)を決定する
  • ⑧温度・時間/PH/外観・味などの管理基準を設定する
  • ⑨モニタリング基準を設定する
  • ⑩改善措置を設定する
  • ⑪プランに従っているか、有効に機能しているかの検証法を設定する
  • ⑫記録と保存方法を設定する

とても細かい手順ですが、普段の工程でやっていることをこの手順に当てはめて整理し直すことで対応できるようです。

基準B:【HACCPの考えを取り入れた衛生管理】

基準B「HACCPの考えを取り入れた衛生管理法」が適用されるのは小規模事業者とされる人たちです。

また、併設店舗などで小売販売等を目的とした菓子・食肉・魚介を取り扱う事業者、提供する食品の種類が多い、もしくは変更の多い飲食店なども対象となります。

そして「一般的衛生管理」は、食品の安全性を確保する上で必ず実施しなければならない基本的な事項です。厚生労働省による「小規模店向けHACCP手引書」に掲載されている項目をいくつかあげますと…

  • ・工場の衛生管理:手洗いを励行する
  • ・従業員の衛生管理:作業時には指定の作業服、帽子、手袋、靴及びマスクを着用する
  • ・食品などの衛生的な取扱い:原料、中間品及び製品は、決められた温度で保管する
  • 冷蔵庫・冷凍庫の確認
  • ・トイレの清掃:定期的に清掃し清潔に保つ

などなど…このように基本的な項目を徹底し、その上で重要管理点にはHACCPによる衛生管理を取り入れる、とされているのが「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」です。12手順7原則全てではなく、部分的に適用されるということですね。

(例)手洗いの実施

・いつ⇒トイレの後、調理施設に入る前、盛りつけ前、生肉を触った後、金銭を触った後、清掃作業の後

・どのように⇒衛生的な手洗いを行なう、秒数

・問題があったら⇒必要なタイミングで手を洗っていないことを確認した場合は、すぐに手洗いを行わせる

このように普段やっていることも、事前に項目ごとに具体的にまとめておく必要があるようです。

 

「基準A」対象業者は、「基準B」を選択することはできませんが、「基準B」対象業者は「基準A」を選択することができます。手順は増えますが、食の安全に関わることですし、自社製品の安全性を証明し信頼を得ることにも繋がりますので、損はありません!

飲食店の場合

飲食店が部分的にHACCPの考え方を取り入れるとは、どういうことなのでしょうか。

飲食店などの小規模事業者は一般的な衛生管理を徹底することが基本とされます。

HACCPのチームを結成するなどの必要ありませんが、調理などの問題が起こりうる工程を重要管理点として設定し、外観/温度など管理基準を設定、実施・記録といった部分は取り入れることになります。

チェックポイントとしては、以下のように「このメニューはこうする、ここで判断する」という項目を設けます。

①加熱もの

(例)ブロック肉・鶏肉 火の強さ、焼き色、肉汁を目視で判断する
中心まで火が通っているか⇒目視で中心の色、中心温度計で温度を確認する

 

(例)唐揚げ・天ぷら 油の温度⇒揚げ物用の温度計で測定する
揚げ時間で判断する

②非加熱のもの

(例)刺し身 冷蔵庫から出して何分以内に提供するか
冷蔵庫の温度⇒冷蔵庫用温度計で管理する

 

※厚生労働省のホームページには、業種別に手引書が掲載されています。チェックシートの例なども載っています。

 

★温度管理にはこれ!はかり商店おすすめ温度計★

それでは最後に、はかり商店で取り扱っております、一般衛生管理・HACCP対策におすすめな温度計をご紹介致します!

主に飲食店の厨房で活躍する、温度管理に最適な温度計を集めましたので、是非ご検討ください。

↓↓HACCP対策におすすめの温度計をもっと見る↓↓

その1:保管食材の温度管理に!冷蔵庫用温度計 PC-3300

メーカー ㈱佐藤計量器
取扱シリーズ 1商品
校正可能
特徴・性能
  • ・冷蔵庫用の温度計です
  • ・最高・最低温度を常時表示します
  • ・外部・内部温度は切り替え表示
  • ・本体内蔵センサで-5℃まで、外部センサで-50℃までの低温域を測定します
ポイント ・防水性能「IPX4」で、水の飛沫にも耐えます(水没は不可です)

・センサコードは約3mです

 

その2:時間と温度で品質を管理!外部センサ付温湿度計 AD-5680

メーカー エー・アンド・デイ
取扱シリーズ 1商品
成績書発行可能(別費用)
特徴・性能
  • ・温度・湿度・時刻を同時に表示する温度計です
  • ・時間(Time)と温度(Temperatur)を組み合わせて食品の品質を管理するTT管理に適しています
ポイント
  • ・最高/最低温度・湿度の自動メモリ機能
  • ・内部温度と外部温度は、切り替えて表示します

 

その3:防水型デジタル温度計 SK-270WP-B

メーカー 佐藤計量器製作所
取扱シリーズ 1商品
特徴・性能
  • ・食品などの温度測定に最適なハンディタイプ防水型無線温度計(ロガー機能付き)
  • 無線通信(Bluetooth)を使用して、測定値、または本体に記録済みのデータをパソコンへ無線で送信
ポイント
  • ・防水構造:IP67準拠
  • ・電磁調理器の影響を受けにくい
  • ・表示が見やすく堅牢なボディー

 

SK-270WP用サーミスタセンサ 

メーカー 佐藤計量器
取扱シリーズ 9シリーズ
特徴・性能
  • ・IPX7に準拠した高い防水性能のため、流水での丸洗い(指示計接続時)やアルコールでの拭き取り清掃が可能
  • ・HACCPの温度測定・記録に最適です。
ポイント 中心温度測定センサ、揚げ油測定センサ、鉄板表面測定センサ、投げ込みセンサなど、用途に合わせて選べます

 

その4:温度データロガー AD-5324SET:4000メモリ・通信セット付属

メーカー エー・アンド・デイ
取扱シリーズ 1商品
成績書発行可能(別費用)
特徴・性能
  • ・作業環境や保存環境などの温度の履歴管理に最適です。
  • ・温度データロガーAD-5324本体に、専用通信セットAX-KO4141を付属させたセットです
  • ・簡単に温度を測定・記録して、分析が可能!
ポイント
  • ・水気に強い防滴仕様は、IP54
  • ・データメモリー数は4000メモリー

 

その5:触れずに測定!赤外線放射温度計 AD-5611A

メーカー エー・アンド・デイ
取扱シリーズ 1商品
成績書発行可能(別費用)
特徴・性能
  • ・物体から放射される赤外線を計測する赤外線放射温度計です。
  • ・食品に直接触れる必要がなくとても衛生的です。
  • ・食品、水、設備などの使用に最適です。
ポイント
  • ・レーザーマーカ付きで、測定部位が分かります
  • ・PS/Cマーク(JQA)認定製品
  • ・測定中の最高温度を同時に表示

 

その6:携帯できるミニサイズ!73009:放射温度計A ミニ 時計機能付放射率可変タイプ

メーカー シンワ測定
取扱シリーズ 1商品
特徴・性能
  • ・物体から放射されている赤外線を読み取り、それを温度に変換して液晶に表示する非接触式温度計です。
  • ・測定対象物に合わせた放射率の設定ができます。
  • ・最低/最高測定モードで測定キーを押し続けている間の最低・最高温度を表示します。
ポイント
  • ・非接触なので、安全で衛生的に使えます。
  • ・超コンパクトサイズで携帯に便利です。

その7:Bluetooth対応の温度データロガー:おんどとりJr.「TR42」外付けセンサ

 

メーカー (株)ティアンドディ
特徴・性能
  • Bluetooth対応の温度データロガーでスマートフォン/タブレットでデータ操作が可能です。収集したデータは無償クラウドサービスへ自動送信され、PCでの加工を容易にします。
  • 15通りの記録間隔と大容量の記憶容量
  • 低温環境電池を使用することで低温環境でも正常に動作します
ポイント
  • 充実のオプションセンサ
  • 応答性の高い外付けセンサを標準付属

 

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上記取扱製品について、ご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。お電話、メール、FAXにてお待ちしております。

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