【2024版】電子天秤(天秤)・精密天秤の選び方【おすすめ商品】

「電子天秤を購入したい！でも、どのはかりをどう選んでいいの？」
「そもそも電子天秤とは？電子はかりと電子天秤はどう違うの？」

そんな方はご安心ください！
この道40年のはかり商店の店長が、失敗しない電子天秤の買い方についてご紹介します！

1．電子天秤(天秤)とは？　電子はかりと何が違う？

電子天秤とは、電子はかりの一種で、特に高精度なはかりのことを言います。

では どうして、高精度なはかりのことを「天秤」と呼ぶのでしょうか？

天秤は、片方に計量するものを乗せ、もう片方に重りを乗せ、つりあうことで重さを量っていました。この方法は、2000年以上も昔から活用されている重さをはかる方法です。 
その後時代が進むにつれ、他にも様々な計量方法が発明されましたが、「天秤」のしくみを利用した計量方法に勝る精度の高い方法はなく、現在でも「天秤」のしくみが多くのシーンで利用されています。

電子はかり（デジタルはかり）の中でも特に、電子的な仕組みで更に高精度な計量を実現したのが、「電子天秤」なのです。

2．電子天秤の”精度”について

電子はかりの精度の高さは、ひょう量に対して、どのくらい小さな質量を計量できるかをいいます。 一般的に、電子天秤や電子はかりの精度は、

精度 ＝ 目量 / ひょう量

で表されます。その数字が小さければ小さいほど、精度が高いとされます。

ひょう量とは

そのはかりが一定の精度を持ってはかる事の出来る最大値です。
「最大計測可能重量」とも言います。
「計量皿の上に載せられる最大重量」を意味します

目量とは

そのはかりで確認できる最小値です。「最小目盛り量」のことです。
「最小表示」や「最小測定単位」と表現される場合もあります。

3、電子天秤の種類

電子天秤に種類はありません。
精度の違いや用途の違いで、メーカーによって呼び方が変わります。

例えば、「高精度分析天秤」「分析用電子天秤」など「分析」と記されている電子天秤があります。
一般的には、化学分析に適した機構やアプリケーションを備えたものを「分析天秤」と呼びます。また、精度の高さを表現したり、いろいろな用途に使える電子天びんを「高精度電子天秤」「汎用電子天秤」の様に表現することがあります。 また「精密天秤」と呼ばれることもあります。　　

目量（最小表示）が非常に小さい電子天秤を特に下記の様に表現する事があります。 　　
「ウルトラミクロ電子天秤」最小表示が、０.１μg（1/10000mg）以下の電子天秤　　
「ミクロ（マイクロ）電子天秤」最小表示が、１μg（1/1000mg）の電子天秤 　　
「セミミクロ電子天秤」最小表示が、１０μg～１００μgの電子天秤

精度の高い電子天秤を選ぶときは、はかるものに対して、どこまで最小表示が必要で、ひょう量はどれだけ必要なのか、を念頭においてください。

4、電子天秤の選び方

お電話やメールではかり選定のお問い合わせを頂くことがございますが、
はかり商店店員から多くの場合お伺いする内容をまとめてみました。

①はかるものに対してどれくらいのひょう量が必要？

風袋(容器等)も含めて、はかる物に対して余裕を持ったひょう量（最大計測可能重量）を選択して下さい。あまり余裕を持たせると、最小表示(目量)も大きくなりますのでご注意下さい。

※「最大計測可能重量」には風袋引き（容器などを計測対象から外して”０”表示させる機能）した重量を含みます。
「計量皿の上に載せられる最大重量」としてご理解下さい

②どのくらいの目盛り量（目量）が必要？

何g間隔ではかりたいかで目量（最小表示）を選択します。 必要以上に細かい目量（最小表示）の電子天秤を選択すると、安定が遅くなるなど作業性が悪くなることがあります。

①と②は、精度に関係します。 メーカーによっては精度のほかに、直線性や再現性などのデータが仕様書に表記されています。

※目量の小さい電子天びんをご使用する際の注意

・近年、薬品や食品などの微量物の計量のために目量が1g未満さらには1mg未満といった高精度な電子天びんの需要が増加しています。その際にご注意していただきたい点についてまとめましたのでご一読ください

◎高精度な電子天秤ご使用時の注意点（多くの場合、取扱説明書に同様の注意点の記載があります）

※設置/使用環境に注意する必要があります

●設置環境について

・温度、湿度が変動しないようにしてください（20℃±2℃、湿度45～60%RHが理想です）
・直射日光の当たらない場所に設置してください
→温湿度の変化は室内の空気対流（微量風）を発生させることがあります

・エアコンなどの室内風を避けてください。無風空調などが理想です

・空気中の塵芥が少ない場所に設置してください。「クリーンルーム」が理想です
→特に微量な計量を行う場合は、不純物の計量物への混入を防ぐため、事前に清掃してください

・振動を避けてください。振動は部屋の中央より隅、2階より1階のほうが小さく計量に適しています

・堅固な天びん台（作業台）を使用してください。微量計量の場合は除振台の使用をおすすめします

・水平器を使用して必ず水平状態で使用してください

・使用前には１時間以上通電してください（ＡＣアダプタを電源に接続した状態）

・天びんを初めて使用する場合、使用する場所を変えた場合、計量皿を変えた場合、計量作業を始める場合には必ず調整（キャリブレーション）作業を行ってください

●使用時の注意点

・静電気の影響により、計量誤差を生じることがあります。周囲の湿度が４５％ＲＨ以下になるとプラスチック等の絶縁物は静電気を帯びやすくなります。必要に応じて除電処理を行ってください

除電処理の例
・除電器などの装置がある場合は稼働する
・天びんの設置場所の相対湿度を高く保つ
・試料を導電性の金属製容器などに入れて計量する
・プラスティックなどの帯電物は湿った布で拭くなどして静電気を抑える

・磁気の影響により計量値に誤差が入ることがあります。磁性体（鉄など）を測定する場合は天びん本体と試料とを遠ざけてください。

・周囲の温度と計量物（風袋を含む）の温度に差があると、計量誤差が生じることがあります。
計量物や風袋はできるだけ周囲の温度になじませてから測定してください。
また、計量物は手で持たずにピンセット等で操作してください。

・計量皿に試料を載せるときは、衝撃的な荷重やひょう量を超えた荷重を加えないでください。
また、計量物は皿の中央に載せてください。
・計量操作は丁寧に素早く行ってください。測定に時間がかかると計量室内の温湿度の変化、空気の乱れや試料の反応・湿度の吸収により計量値に含まれる誤差要因が多くなります。

ご不明な点がありましたらお問い合わせください

③はかるものの大きさはどれくらいですか？

商品詳細画面の商品仕様にあります「積載面寸法」を参照ください

はかりたい物の積載面の寸法より、大きい計量皿の電子天秤をお選びください。 　　
紛体や液体など容器(風袋)に入れてはかる場合は、その容器の積載面寸法より大きい計量皿の電子天秤を選びます。 　　

はかりたい物の積載面の寸法より小さい計量皿の電子天びんを使用すると、偏荷重がかかる場合があります。 　　
偏荷重がかかると、正確な計量が出来なくなることや、故障の原因にもなります。

④取引・証明用に使用しますか

取引とは、商売などで使用すること。有償無償を問わず物品または薬の給付を目的とする業務上の行為を言います。

証明とは、計量した値を証明すること。公にまたは業務上に他人に一定の事実が真実である旨を表明する行為を言います。 取引や証明に使用する場合は、国家検定付のはかり（特定計量器）を使用し、２年に一度、法定検査を受けなければなりません。特定計量器とは、計量法の中で、はかりや分銅などに一定の基準を設け、それに適したものを言います。 取引や証明に使用する場合は、必ず特定計量器（検定付はかり）を選択して下さい。

※特定計量器には取引・証明用途に使用できる範囲が定められています

・特定計量器(検定付はかり)では、ひょう量や目量と精度等級から「使用範囲」が定められています。 ・取引や証明に使用する場合は、この使用範囲内で使用しなければなりません。

特定計量器（検定付はかり）の使用範囲は、電子天秤表示部あたりの見えるところに表記されています。

特に「最小測定量」には注意が必要です

⑤防塵防水機能は必要ですか

水を多く使う場所や粉塵の舞う場所等で電子天秤をご使用になる場合は、防塵・防水機能を備えた電子天秤があります。
※電子天秤は「精密機器」なので基本的には水分や塵芥のある場所で使用すると故障の原因になります。
防塵・防水機能には、等級があります。「ＩＰ６５」などの表記がこれに当たります。

⑥計数に使用しますか

電子天びんには、計数機能を備えたものがあります。個数はかりともいいます。

部品などの計数(カウンティング)専用でご使用になる場合は、計数専用の電子天秤を選んでください。

⑦防爆機能は必要ですか

公的機関の定める危険場所で電子天びんをご使用される場合は、危険場所の分類に合った防爆構造の電子天秤をご使用下さい。

⑧AC電源のない場所で使用しますか

電子天秤を移動(持ち運びなど)されたり、電源のない場所でご使用の場合は、充電式バッテリ駆動を備えた電子天秤を選択して下さい。
乾電池駆動タイプもおすすめです

⑨比重や水分などを計測しますか？

電子天秤で、試料の比重をはかりたいときは、オプションやアクセサリにある比重測定キットなどを利用します。 　　

また、試料が大きい場合は、床下ひょう量フックを利用することもあります。

これらの器具が組み込まれて、比重計専用となっている電子天秤もあります。 電子天秤で水分率をはかる場合は、水分計専用の器種を選ばれることが多いようです。

⑩計量データをパソコンやプリンタに出力しますか？

電子天秤で測定した重量などの測定結果をパソコンなどの外部機器へ出力する場合は、インターフェイスを備えた電子天びんを選択します。 　　

測定結果を一旦メモリに蓄え、作業終了後メモリを外部機器へ接続して保存する場合は、ＵＳＢメモリなどの接続可能な器種を選びます。

メーカーによっては、周辺機器にデータロガーが用意されています。これを利用することで、バッチ処理が可能です。 　　

測定時にその都度データを送信したい場合などは、ＲＳ-２３２ＣやＵＳＢのインターフェイスなどを機能があるものを選びます。最近では、イーサーネット・インターフェイスやＢluetooth®通信なども利用されています。 　　

電子天秤のデータ運用や外部機器のインターフェイスに合わせて選択して下さい。 　　

電子天秤に専用プリンタを連動して、測定結果等を印字する場合も、インターフェイスや連動ケーブルを合わせて下さい。

はかり商店「外部出力できる電子天秤」

⑪使用地区の確認

電子天秤に限らず、質量計は使用場所の緯度により重力加速度の影響を受けます。

特定計量器（検定付はかり）以外の電子天秤は、一般的にメーカーの工場で調整されそのまま出荷されます。

使用の場所が調整された場所と緯度が違うと、重力加速度の影響を受ける場合があります。 　　

開梱・設置後にはご使用の場所での校正（調整）が必要となります。
（多くの場合「取扱説明書」に上記の記載がございます）

電子天秤の機能で、校正（調整）用分銅内蔵タイプのものがあります。このタイプの電子天秤では、取扱説明書等の手順に従い処理を行えば使用することができます。

校正用分銅が付属しているものあれば、その分銅を使用してキャリブレーション処理を行います。

※キャリブレーションとは、はかりの目盛を正しく調整する事で、「スパン調整」や「ＣＡＬ(キャル)」とも言います。 　　

また、重力加速度を設定変更できる機能を持った電子天秤もあります。 ご使用の地区に合わせて重力加速度を設定すると使用できます。

この場合は、重力加速度設定後に、その電子天秤に合った分銅で量目確認することをお勧めいたします。

特定計量器（検定付）では、定められた使用地区に合わせたはかりを使用することが法律上義務つけられています。 検定付の電子天秤を購入するときは使用地区を必ず伝える必要があります。

使用地区や重力加速度は、電子天秤の銘板等に明記されています。 使用地区を超えて取引証明用のはかりとして使用することはできません。 　　

特定計量器(検定付)は、お客様でのキャリブレーション（調整）処理が出来ません。 地区を変更する場合などは、必ず購入店に相談してください。

計量器(検定付)でも校正用分銅内臓のものがあります。この機能を持った電子天秤は、キャリブレーション処理を行えば使用することができます。

電子天秤ではあまり見かけませんが、現計量法で精度等級４級・旧計量法でＯ級のはかりは、使用地区の制限を例外としています。

⑫おわりに

電子天秤の性能は、電子天秤自体の能力だけではなく、据付環境や使用する人のスキルによっても決まります。 　　

電子天秤の最小表示が小さくなればなるほど、環境や使用者の影響は大きくなります。 　　

使用する電子天秤そのものの性能を熟知し、据付環境の影響による誤差要因の軽減や、使用する人が電子天秤の正しい使い方を学んでいくことが重要です。

５、おすすめ電子天秤【メーカーの特徴で選ぶなら】

６、おすすめ電子天秤：最小表示で選ぶなら

7、おすすめ電子天秤　用途・目的で選ぶなら

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